元気で明るい吉野川市を目指して

子どもたちが生き生きと個性を伸ばせるまちづくり
安心して暮らせる、安全に暮らせるまちづくり
美しく活気あるまちづくり

産業建設常任委員会の視察研修でした

カテゴリ : 
マイブログ
執筆 : 
admin 2014-10-29 18:30
吉野川市議会産業建設常任委員会行政視察研修

  視 察 地  兵庫県西宮市、岡山県笠岡市、山口県周防大島町

  視察目的 西 宮 市 … 活断層上における条例上の開発規制について
笠 岡 市 … 線引き廃止後の都市計画について
周防大島町 … 滞在型市民農園について

  視察期間 平成26年10月20日(月)から10月22日(水)

  視 察 者 産業建設常任委員会 工藤 俊夫・阿佐 勝彦・岸田 益雄
                   原田 由一・高木  純 ・福岡 正
都市計画住宅課長 小澤 和義・会事務局主査 工藤 聖隆 
(計8名)

【兵庫県西宮市】 活断層上における条例上の開発規制について
 日 時 平成26年10月20日(月)13時30分
 場 所 西宮市役所議会棟3階 3号委員会室
 出席者 
        西宮市都市局建築・開発指導部開発指導課長  畑  文隆
           〃        〃     係長 北村 弥昭
           〃         議会事務局次長 北林 哲二
〃                 湊 利江子
○研修内容
(1)「西宮市震災に強いまちづくり条例」について
1.平成7年4月1日施行・平成14年3月31日廃止。
2.平成7年1月17日に発生した阪神淡路大震災により、甚大な被害を受けた
西宮市であったが、復旧・復興の過程で建築ラッシュが起こることが容易に予
見できたことから、震災を教訓とした震災に強いまちづくりを推進すべく、建
築物等への指導を強化して、今まで以上に安全で活力ある市街地を形成するこ
とを目的として制定。
 制定に至った経緯は、震災での被害の原因として挙げられた活断層や液状化
現象に関する指導の根拠法令は、都市計画法の開発許可基準、建築基準法の構
造耐力、宅地造成等規制法の技術基準であったが、これらは事業区域や一つの
建築物の安全を確保するための法律であり、また活断層等について具体的に指
導していくには別の法令が必要であると考えられたことによる。

3.条例の内容は、阪神大震災に伴う市街地の復興に際し、活断層や液状化現
象といった震災事象に強い建築物等の整備促進のため、建築主に対して情報の
提供又は指導を行うことを目的とし、開発の事前協議を通じて基礎の構造の指
導や、耐震・不燃化構造への誘導、調査により活断層が明確になった場合には
建築物の建築を避けるべきと指導する、というものになっていた。

4条例制定からの変遷
 震災から5年以上経過し、「震災からの市街地復興」が終息しつつある中、
近隣自治体である神戸市や伊丹市では、同様の条例は時限立法で既に廃止され
ていたが、西宮市では引き続き同条例を基に開発事業者への指導を行っていた。
しかし、「活断層の評価は研究者の間でも異なるため調査方法も確立されてお
らず、各種文献と開発敷地単位の現地調査によるものだけでは活断層の評価は
出来ない。」ほか、様々な問題点が挙げられるようになった。
 ただし、行政による指導が活断層そのものに対する市民の意識高揚や、防災
意識を高めるという点での貢献は認められていたことから、取り扱いについて
見直しをかけることとなった。

○質疑応答
Q:断層図を公開した際に、地権者から土地の価値が落ちる等のクレームはなか
ったのか。
A:公開することを定めた際にそのような声はあった。しかしながら、防災上の
観点からこれを広く周知し、防災意識を高めるという目的 で公表するに至った。

Q:平成7年の大災害があったことで、市民の意識としても活断層図の公表に理
解が得られたという解釈でよいのか。
A:活断層図の公表は震災からかなり経過した平成12年になってからである。
その中で、市としてもやるべきことはやらざるを得ない、ということで、都市
圏活断層図とは別に、市職員らが独自で文献等にも当たって調査を行い、資料
を作成したものである。

Q:この公表に伴う、開発行為の際に義務づけられた事項によって、業者側から
の苦情は無かったのか。
A:調査費用がかさむとか検討期間が延びる等の声はあった。一方で、これを実
施することで安心・安全面をケアしているという評価がえられることから、売
る際にはセールスポイントになる、という面もあった。

Q:公表されている活断層図は、都市圏活断層図を参考にしているのか。
A:参考にはしているが、それだけではなく、市独自の部分があるので、評価の
違う部分がある。

Q:市独自での調査というとボーリング調査などか。
A:実際には、地形図や過去の文献等、航空写真で見て歪みがないか、等を参考
に調査している。民有地ということでボーリング調査は行えない。

Q:公表後の評価替えで固定資産評価額に変更があったという事例はあるのか。
A:評価額は土地に対して、駅からの距離や道路の幅員等は評価要素であるが、
活断そのものが固定資産の評価要素に入っているとは聞いたことがない。

Q:年間の開発申請件数はどれくらいか。
A:この条例に関係するような申請件数は100件程度。戸建て住宅のような小規
模開発は1,400?1,500件程度。

Q:率直な意見としてお伺いしたいが、本市でも当条例のようなものを制定する
ことにメリットはあると思われるか。
A:当市と徳島県の条例の大きな違いは、西宮市では禁止をしていない、という
点にある。設計業者が予定地をきちんと調査し、その結果で評価している。全
くの禁止となれば抵抗も大きいだろうし、その責任も伴うが、調査を求めると
いう方法であるため、抵抗を受けるにいたってはいない。この点がヒントにな
ればと思う。

○所 感
 西宮市では、悲惨な大震災被害を教訓とし、震災に強いまちづくりをすべく、
条例を制定したうえで指導に取り組み、市民の意識高揚を図ってきた。この結
果、復興した西宮市においては、新たに業者が開発を行う場合においても、市
が公表している活断層図に基づき、購買者が業者に確認をとることができる等、
安全対策がなされているということで、震災直後に急落した人口曲線は右上が
りの一途にあるとのことであった。
 既に徳島県では県が「徳島県南海トラフ巨大地震等に係る震災に強い社会づ
くり条例」を制定している。
 将来、本市では線引きの廃止が予定されており、これにより新たな開発が行
われる可能性がある。現状では西宮市のように高層マンション群が建築される
というようなことは考えにくいのであるが、既存の高層建物については、もし
南海トラフ巨大地震が発生した場合には、甚大な影響が懸念される以上、西宮
市で実施されているような市独自の活断層調査を実施することは、市民の安全
・安心を担保する施策として考慮しておく必要があるのではないだろうか。

○西宮市の概要
 西宮市は、兵庫県の東南部、大阪湾北部沿岸にあり、阪神地域の中央部に位
置している。市域は南北19.2?、東西14.2?、総面積100.18?で、北部は山地
部に、南部は平野部に分かれている。また、市域内には13の活断層があること
も明らかになっている。
 西宮市は、平成7年1月17日、午前5時46分に発生した阪神・淡路大震災に
より、死者1,146名、負傷者6,386名、倒壊家屋約6万世帯という想像を絶す
る被害を受けた。
 以後、復旧・復興とともに新たな防災体制の構築等を経て、平成26年9月1日
現在の人口は487,400人、世帯数は207,427世帯となり、震災当時の人口を超
えるまでに至っている。


【岡山県笠岡市】 線引き廃止後の都市計画について

 1.日 時 平成26年10月21日(火)10時00分?11時30分
 2.場 所 笠岡市議会議事堂第1委員会室
 3.出席者    笠岡市   市議会     議長 金藤 照明
           〃     〃     副議長 藏本 隆文
      〃  建設産業部都市計画課課長 齋藤 秀三
           〃     〃  都市計画係長 泉  篤史
              〃    議会 事務局長 原田 恵吾
           〃     〃      主事 天野 浩久

 
○研修内容
(1)市と議会の動き
 区域区分の見直し検討の経緯について、市と議会がそれぞれ、独自だったり、協同で調査等の活動を行ってきた。
 市としては土地利用に関する現況調査やアンケート調査、ワークショップの
開催等を行ってきた。平成16年の都市計画マスタープラン策定以降も、区域区
分が必要かどうかについて、継続的に検討を行うべく、「笠岡市区域区分等検
討プロジェクトチーム」会議を開催した。それらを踏まえ、「あたらしい笠岡
の都市計画(案)」を作成、また、市の広報誌上で3回シリーズで「線引きを
考える」を掲載するとともに、都市計画審議会でも「あたらしい笠岡の都市計
画(案)」について会議が実施された。
 平成18年からは線引き見直しにかかる市民説明会等を実施し、また農業委員
会や岡山県宅地建物取引業協会に対しても「あたらしい笠岡の都市計画(案)」
の説明を行い、同年7月21日に市長・議長連名で県知事へ区域区分廃止に関す
る要望書を提出した。
 一方、議会でも平成13年10月から平成14年2月20日までの間に3回の議員
勉強会を実施。先進地である宮崎県都城市や香川県坂出市への行政視察を行っ
た。平成14年7月19日から平成15年2月14日までの間、5回にわたって笠岡
市土地利用計画調査特別委員会を開催し、マスタープラン等について調査を行
った。
 その結果、中間報告として「区域区分の見直しが必要」との見解を出した。
その後も特別委員会での協議は続き、平成16年3月19日には最終報告が出さ
れた。主な内容は「線引きを廃止した場合も土地利用制限が必要」・「市街化
区域の用途地域の存続」・「税金に関する十分な議論」であった。
 市議会議員の改選を経て、再度、笠岡市土地利用計画調査特別委員会を立ち
上げ、継続して調査を行った。平成18年3月20日に中間報告を発表し、5月に
は「あたらしい笠岡の都市計画(案)」の修正について審査を行った。6月20
日に笠岡都市計画区域の区域区分廃止の要望書に関する決議を採択、7月21日
に議長・市長連名で県へ区域の区域区分廃止に関する要望書を提出した。
 平成20年6月4日から市として線引き廃止に係る都市計画法に基づく手続き
を開始。翌年4月1日をもって線引きの廃止に至った。同時にマスタープラン
の一部見直しが行われるとともに、県から市に対して3つの事務が移譲された。

(2)線引き廃止後の都市計画
 平成21年4月1日に線引きは廃止されたものの、それまでに協議された「あ
たらしい笠岡の都市計画」のもと、新たな土地規制が行われることとなった。
 笠岡市の島しょ部を除く全域が都市計画区域であるのは従前のとおりであっ
たが、旧市街化区域においては用途地域が継続され、旧市街化調整区域におい
ては、新たに「特定用途制限地域」が導入された。また、都市計画区域全域に
おいて、開発許可の対象となる面積が見直されることとなった。
 線引き廃止後の市街化調整区域は建築物の用途上の制限がなくなるため、周
辺環境を悪化させる建築物が建築される恐れがあったことから設定された「特
定用途制限地域」内での建築制限は市の条例で定められた。
 この緩やかな規制を定めることで、無秩序・無計画な乱開発が制限されるこ
とにつながるとのことであった。
 なお、線引き廃止後も地域住民との懇談会を実施しているが、その中で、さ
らなる制限緩和を求める声があったり、耕作放棄地の解消、空き家対策への要
望等があったとのこと。
 特定用途制限地域は3種類あり、それぞれ、「田園居住地区」、「環境共生
地区」、「特定沿道地区」に分けられている。また、農用地区域と保安林区域
は特定用途制限地域からは除かれる等、他の法令に基づく規制はそのまま残さ
れている。
 次に建ぺい率、容積率であるが、これも従前のとおりであるとのことであり、
用途地域(旧市街化区域)においては各用途地域ごとの定め、特定用途制限地
域(旧市街化調整区域)においては、建ぺい率70%(一部50%の地域あり)、
容積率100%とのことであった。
 税金(固定資産税・都市計画税)については、旧市街化区域内に存在した農
地(田・畑)は宅地なみ評価であったものが、一般農地の評価になり、また山
林についても一般山林の評価に変わった。これに伴い、固定資産税評価額、固
定資産税額が下がることとなった。

(3)線引き廃止後の変化
 線引きの廃止以降の笠岡市の人口変化については、社会動態による減少に歯
止めがかかったように思われるものの、自然動態による減少が大きく、全体と
して減少傾向に変わりはないとのことだった。
 開発については、廃止前には年数件であったが、廃止後の平成21年度には旧
市街化区域に隣接する区域において30区画、40区画の2つの宅地開発があっ
た。平成22年度には8件、平成23年度には10件、平成24年度も10件、昨年度
は4件の申請が出ている。開発業者や不動産業者と窓口で対応する中で、徐々
に土地利用制限の内容について理解が深まり、土地利用が活発化し始めている
という感触がある。

○質疑応答
Q:線引き廃止に伴い、県から権限移譲を受けたときに、開発許可事 務につい
て、職員研修や体制についてどう対応したのか。
A:当初の体制としては、事務職はその他の都市計画業務も合わせて 従来のま
ま、そこに土木技術者を4名配置。研修については権限 移譲前に岡山県で3
回程度の座学研修を、検査確認についても現地での研修も2回程度受け、検
査上の注意点等についての指導を仰いだ。
 なお、現在は土木技師3名、事務職2名で対応している。事務の方で受付業
務を行い、土木技師1名を専任で開発に当てている。 検査は専任者ともう1
名の土木技師で行っている。

Q:線引き廃止による市民の反応は。
A:他市町村から帰って来るとか、建て替えたいという方については、非常に評
価が高い。特に旧市街化調整区域においては、基本的には農業従事者が主にな
るので、例えば帰ってくるにしても、土地はあるのに農業従事者でないから建
てられない、とか手続きが煩雑になるとかがあったりしたことから好感を得て
いる。
 開発については、基本的に民間主導でやっており、それに際しては建築業
者が付いているので宣伝等をして埋まって行っている。

Q:線引き廃止後による固定資産税への影響は。
A:試算ではあるが、約6,000万円の税収減の予定であったが、開発による宅
地の増加等による税収増と相殺されるのでは、という見込みであった。

Q:取り組んでいたアンケートやワークショップにおいて、市街化区 域と市
街化調整区域の方とで意見の違いがあったと思うが。
A:市街化調整区域の方ではまず、住宅が自由に建てられないということが一
番の課題として要望が多かった。市街化区域内の方から は、制度的に特に
変更が生じないことから、苦情のようなものは 特に無かった。

Q:正直なところ線引きを廃止して良かったと思うか。
A:個人的な意見として、良かったと思う。土地利用の観点から、昔はできな
かったものが、若干の制限はあるが、呼び込める、ある いは建てられるよう
になった、ということが大きい。


Q:議員としての意見は。
A:線引き廃止したことで、建築業者の入札が増えた、建築条件が緩 和され
たということで建物が増えた、という実感がある。これま では建てられな
いという所に建てられるようになったことで、建 設業界に動きが出てきた
ように思う。人口減少の歯止めという点 では弱いかもしれないが、別の政
策として定住促進という取り組 みと併せると、急激な人口減少を食い止め
ることはできたのでは ないかと思う。(金藤議長の回答)

Q:線引き廃止の結果、固定資産税評価額の上昇等による相続への影響はなか
ったのか。
A:そういった話は聞いていない。

Q:特定用途制限地域における、制限をかけた時点における既存不適格への対
応は。
A:既存不適格については、条例の中で認定制度を設けて対応している。例え
ば、既存部分に対して床面積の1.2倍まではいいとか、原動機については、
出力の1.2倍まで可能等としている。この制度に則って処理している。

Q:緩和する条例を設けているという理解で良いのか。また、建て替えの場合
はどうなのか。
A:その通り。建て替えについても、既存の事業と同一事業用途であれば、そ
の辺りも緩和されている。
Q:線引き廃止によって家屋が分散して増加する等、行政コストが増大すると
いうリスクもあったのでは。
A:そういった懸念はあったと思う。ただ、現実的には旧市街化区域の近隣部
での開発がほとんどであった。利便性等の関係から、旧市街化区域を核とし
て、開発が周辺に広がっているようなイメー ジになっている。


○所 感
 笠岡市では線引きの廃止に合わせ、都市計画マスタープランを一部改正し、
無秩序な開発を制限するため、土地開発に対して緩やかな規制をかけた。
 近い将来、本市においても線引きが廃止になれば、新たな開発申請が出て
くることが想定されるが、無秩序な開発は周囲の環境に悪影響を与えること
が懸念される。
 今回視察を行った笠岡市同様、アンケートやワークショップ、広報誌での
検証等、線引き廃止に伴う変化について市民に周知するとともに、本市マス
タープランの見直しも行い、新たに「吉野川市」としての都市計画を考えて
いく必要があると思われる。
 また、土地開発、土地利用への規制についても、必要であると思われる地
域には、緩やかでも開発に対する規制をかけ、乱開発を防止し、バランスの
とれた生活環境を構築する等、線引き廃止を見据えて取り組んでいかなけれ
ばならないとの感想を持った。

○市の概要
笠岡市は、岡山県の南西にあり、広島県福山市と隣接している。
温暖な気候で雨が少ない瀬戸内海式気候の地域にあり、また、平野部も少な
いことから、干拓や埋め立てを行ってきたところである。
 特色として、島しょ部が多く、瀬戸内海国立公園の一角ともなっている笠
岡諸島を擁し、風光明媚な場所が多く、カブトガニ繁殖地が天然記念物とし
て指定されている。
 平成26年9月1日現在の人口は52,080人、世帯数は22,540世帯となって
いる。行政面積は347.11km?となっている。


【山口県周防大島町】 滞在型市民農園について
  日 時 平成26年10月22日(水)9時00分?10時30分
  場 所 周防大島町役場大島庁舎2階庁議室
        ガルテンヴィラ大島(現地視察) 
  出席者   周防大島町産業建設部農林課長   林  輝昭
〃    〃  主査   広津  達也
            〃    〃  主事   得田  匠 
            〃   議会事務局長   福田 美則

 
○研修内容
(1)周防大島町の現状
 町の人口は平成26年9月1日現在18,213人、世帯数は9,968世帯。
合併後10年を経過したが、人口の減少傾向は続いている。ただし、その流れ
は緩やかになったとのこと。
(2)ガルテンヴィラ大島開設の経緯と現状
 合併前の旧大島町時代に山村振興等農林漁業特別対策事業として国費50%
の補助を受けて開設。総工費は1億6千7百万円(用地買収費や設計費等は含ま
ない)。年間ランニングコストは平成21年度から25年度の5年間で年平均280
万円、利用料収入は年平均430万円程度となっており、平均で年150万円の黒字
となっている。
  (3)応募の状況等
 毎年、利用について募集をかけると、応募は満杯になる。1回の契約で最長
5年間継続利用が可能であるが、それ以上の更新は再度の応募が必要となる。
それでも開設当初から15年間利用し続けている方もいるとのこと。
 中途で退去された方が出た場合は随時、利用者の募集を行っている。
 
(4)今後の課題
 平成11年の供用開始から16年が経ち、経年劣化による設備の老朽化が進む
につれ、修繕費用が年々増加しており、大規模改修も必要となってきているこ
とが最大の課題となっている。

<研修時の主な質問事項>
Q:当施設の利用をきっかけとして、移住されて来た方はいるのか。
A:当施設を利用された方で、退去後に周防大島に定住された方が少なくとも
1名います。ただし、追跡調査は行っていないため、現在もいるかどうかは
把握できていない。

Q:70歳代の方からの応募はあるのか。
A:今までのところは無い。年齢制限等は特に設けていないので、希望があれ
ば応募は可能。

Q:会社員の方々の利用形態は。ここから通ったりするのか。
A:滞在型という名目ではあるが、別荘のようなイメージで捉えていただく方
が分かりやすいと思います。そのため、住民票を移すことはできません。

Q:多額の財源を投入しているが、利用者は主に町外、県外の方ということで、
町民からそのことで苦情等は無いのか。
A:合併前に出来た施設であり、観光拠点の一つとして整備された意味合いも
あることから特に苦情は無い。

Q:ラウベでの農作物の管理は。
A:基本的に借り主が行っている。管理人はアドバイスなどを行う。

Q:住民票を移すことは禁止事項となっているが、定住を目的とするならば住
民票を移してもらい、契約期間満了後にまた移してもらえば住民税が入って
くるのに、そうしなかったのは何か理由があ るのか。
A:住所を移してしまえば、住民票がある以上、他の方に貸すことも困難にな
る。町営住宅と同じ扱いにはできないので、こちらに住まいをしたい方は町
営住宅に申し込みをしてください、という状況である。

○現地視察
 座学終了後、ガルテンヴィラ大島を視察。常駐の管理人に現場の話を伺っ
た。現在ラウベが1棟だけ空いていたため、内部を見せてもらうことができ
た。他のラウベのうち、何件かは借り主がやってきていた。中を見ることが
できた棟は現在、入居者がいないため、電気・ガス等は止まっていたが、キ
ッチン、エアコン、冷蔵庫、バス、トイレが完備されており、倉庫や物入れ
もあった。また、LDK部分には掘りごたつもあり、1年を通して利用がし
やすいように考えられていた。

  
○所感
 周防大島町では、土地の取得(用地買収)や補償費、設計費から町の事業
として実施しており、毎年黒字にはなっているとのことであった。しかし、
大規模改修が必要な時期に差し掛かっており、大きな課題であるとのことだ
った。
 本市において、耕作放棄地や遊休農地への対応は大きな課題となっている。
このような形で有効に利活用できれば耕作放棄地や遊休農地の減少につなが
るだろうし、また周防大島町のように観光拠点の一つとして捉えるならば、
例えば美郷地区は大きな観光資源でもあることから、美郷地区、あるいは隣
接地区にこのような施設があれば、相互に紹介しあうことも可能ではないか
と思われる。
 ただ、あくまでも「別荘」のような意味合いが強いことから、即定住に繋
がるわけではないことも理解できたし、また、四国、徳島という地勢的な状
況から、果たして借り手が着くのか、着いたとしても、本州方面からの借り
手は着くのだろうか、という不安は残るところであった。

○市の概要
周防大島町は平成16年10月1日に大島町、久賀町、東和町、橘町の4町が
合併してできた町である。行政面積は138.17?、5つの有人島と25の無人
島で構成されている。合併当時の人口は約22,000人であった。元々の傾向
であったが、高齢化率が高く、合併当初から40%を超えていた。
 観光の中心は海であり、数カ所の海水浴場を擁し、周辺にはオートキャン
プ場や温泉施設、リゾートホテル等が整備されており、夏のみではなく、オ
ールシーズンを通じてのレジャースポットとなっている。また、多くの好漁
場もあり、磯釣りから船釣りまで、多くの釣り人で賑わう町である。
 また、古くからハワイに移民を送り出してきた歴史的背景もあり、昭和38
年にはハワイ州カウアイ島と姉妹島提携を締結し、以降盛んに交流がなされ
てきた。本年は提携50周年ということもあって、カウアイ島で記念式典が開
催された。
 夏場のクールビズで役場や病院等の制服がアロハシャツになることでも有
名である。
 平成26年9月1日現在の人口は18,213人、世帯数は9,968世帯となってい
る。