元気で明るい吉野川市を目指して

子どもたちが生き生きと個性を伸ばせるまちづくり
安心して暮らせる、安全に暮らせるまちづくり
美しく活気あるまちづくり

9月定例会で一般質問を行いました。

カテゴリ : 
マイブログ
執筆 : 
admin 2015-9-7 20:30
平成27年吉野川市議会9月定例会一般質問
 9月7日(月)質問順位4番・ 2番議席 岸田益雄(薫風会)

◎資源化ごみモデル集積所について質問いたします。
まず、現在市内に設置されている「資源化ごみモデル集積所」の場所と設置数、
現在までの利用状況を質問いたします。
資源化ごみモデル集積所はいつでも資源ごみを出すことができ、市民の皆さん
にとって非常に利便性の高いものです。
資源化ごみモデル集積所に出せる「資源化ごみ」は、缶・金属・びん・ペット
ボトル・新聞・雑紙を含む雑誌類・段ボール・乾電池・複合ごみ・衣類・小型
家電などです。
また、利用方法については
○ いつでも、資源化ごみを出せます。
○ ごみ袋は不要で、そのままコンテナに投入できます。
○ 衣類は、燃やせないごみの袋に入れて出します
○ 新聞・雑誌・段ボールは、紙ひもで縛ってだします。
○ 燃やせるゴミ・粗大ごみは持ち込まないで下さい。
との、ルールで市民の多くの人たちが利用していました。
しかし、一部の利用者がルールを知らないか、ルールを無視したか判りません
が、資源化ごみ集積所に、回収できない資源ごみを持ち込んでいて対応に苦慮
していると聞いていますが、市内に設置されている資源化ごみ集積所すべての
場所で、ルールが守られていないのでしょうか? 
また、それに対してどのような対応をとっているのかを質問いたします。

○矢田環境局長
 「資源化ごみモデル集積所」につきましては、資源ゴミをいつでも出すこと
ができる利便性の高い集積所として,平成20年度に山川町、21年度に川島
町、そして22年度に鴨島町、美郷に各1ヶ所を設置いたしました。
 この集積所は、24時間いつでもカン、ビン、ペットボトル、雑誌等の自然
ごみを、それぞれの都合で自己搬入できるという便利さから市民にも好評で、
徐々にその数を増やし、現在では鴨島町が喜来地区、西麻植地区、牛島地区の
3ヶ所、川島町が川島地区、学地区の2ヶ所、山川町が川田地区、山瀬地区、
榎谷地区の3ヶ所、美郷が旧美郷庁舎に1ヶ所の計9ヶ所を設置して、市民の
皆さんにご活用いただいています。
 また、吉野川市の「ごみ処理を考える市民会議」から後提言を受け、市民の
利便性の向上を図る目的で、モデル集積所を設置しているもので「好きなとき
にいつでも出せる」「ごみ袋が不要でそのままコンテナへ投入できる」「近く
で手軽に資源ごみが出せる」という利便性のみならず、リサイクルのシンボル
的な施設として、またリサイクルへの関心度を高め、合理的で効率的に、ごみ
の資源化促進が図ることができ、市民からも、その日のうちに片付けられると
好評を得ています。
 今後においても、資源化ごみモデル集積所を市民の皆さまに、より便利に
ご活用いただけるよう、継続してまいりたいと考えています。
 また、現在、9ヶ所ある集積所で、資源ごみの内、10種類の品目を持込み
可能な集積所が7ヶ所、6品目のみ持ち込み可能な集積所が2ヶ所と、その取
り扱いに若干の差異がございますが、当初はどこの集積所もそれぞれのルール
に従い、おおむね種類別にきっちりと分別ができておりました。しかし、議員
仰せのとおり、最近ところによっては、ルールを無視し、回収できないごみ等
が持ち込まれたり、大量の持ち込みによる煩雑化など、その対応に苦慮してい
る集積所もできています。
 特に、人口の多い鴨島地区でその傾向が強く見受けられます。資源ごみの絶
対量の多さと、利便性が高いが故の傾向であるということも考えられます。
 特に10品目持ち込む可能としている集積所につきましては、6品目の上に、
金属類、衣類、ふとん、小型家電と種類も多い上に、持ち込む量も多く、一部
には回収できないごみまで、持ち込まれるケースもございます。
 そこで、今年の10月1日からは、全てのモデル集積所で、持ち込み可能な
資源ごみの品目を見直し、「カン、ビン、ペットボトル、新聞、雑紙を含む雑
誌、段ボール」の6品目に限定し回収することとしています。
 そして、このことについては9月の「広報よしのがわ」及び、市のホームペ
ージ等により市民に周知するとともに、各集積所の出入口及び室内の目につき
やすい場所に、掲示していくこととしています。
 また、ルールが守られていない品目については、黄色の指導シール「このご
みは回収出来ません」と、明記したチェックシールを貼ることとしています。

 なお、このことにより、持ち込み可能な資源ごみは6品目となりますが、
資源ごみのより合理的で効率的な回収と資源化促進が図れるとともに、ひい
てはごみの減量化にも繋がるものと期待しているところでございます。今後と
も、ご協力をよろしくお願いいたします。

○再 問
鴨島町東部の資源化ごみ集積所は喜来地区の市道知恵島中須賀中郷線沿いに
あり利用する方にとっては、ドアtoドアで利用できる便利な場所にありま
す。それがために、地元の自治会の利用者だけではなく、遠方より車で来る
利用者が多いのではないでしょうか。また、市道沿いの植え込みに囲まれて、
入口が旧市道側にあるので利用者の姿が見えにくい立地条件となっているの
で、回収出来ない資源ごみ等を搬入されやすいのではないでしょうか?
建物の外部や内部に監視カメラを設置するか、建物自身の設置場所を再考す
れば、もっと利用しやすい、ルールが守られやすい資源化ごみモデル集積所
になると思うのですが、今後どのような対応処置を考えられるのかを再問い
たします。

○矢田環境局長
 先ほど、鴨島地区でルールを無視したり、大量の持ち込みによる煩雑化な
どが見受けられると、申し上げましたが、中でも喜来地区集積所は、市道知
恵島中須賀中郷線沿いの主要幹線沿いに有るため、地元地区住民のみならず、
多くの方々が持ち込みをされているものと推測されます。
また、喜来地区集積所は、10品目持ち込み可能となっているため、限られ
た集積所のスペース内に収まりきれないこともあり、ほぼ毎日、回収に当た
っておりますが、その対応に苦慮しているのが現状です。そこで、9月議会
で補正予算を計上させていただき、周辺道路の一部改良と併せて、喜来地区
集積所及びその周辺を再整備することとしております。
 今回の周辺道路改良に併せ、集積所を現在地より西側に寄せるとともに、
出入り口を東側に移し、本通り側から搬入することとしています。
そして、市道沿いの植え込みを伐採し、緑地帯を設けて周辺美化に努め、今
まで見えにくかった利用者が、より人目に付くこととなることから、モラル
向上が見込めるものと期待しています。
 また、回収にあたる職員も、パッカー車等収集車両の駐車スペースが確保
出来ることから、より安全かつ効率的に作業できるものと考えています。
 建物内外への監視カメラの設置につきましては、モラル向上のための一つ
の手段であるかとは思いますが、監視カメラの設置は、個人のプライバシー
に関わることでもあることから、慎重に対応する必要があります。そのため、
今後の推移を見守り、地元の方々のご意見等も伺いながら、検討してゆく事
になろうかと考えます。
 このことから、集積所及びその周辺の環境整備に努め、環境負荷の少ない、
美しいまちづくりを推進し、10月1日から、すべての集積所で持ち込みを6品
目に限定することに併せ、その周知とモラル向上の広報等に努めるなど、今
後市民の方々が、より安心して利用しやすくルールが守られる資源化ごみ集積
所を目指して、努力して参りたいと考えておりますので、今後とも、ご協力
をよろしくお願いいたします。 以上でございます。

○まとめ
鴨島喜来地区の資源化ごみ集積所を、道路改良に併せて、市民の皆さんが、
より安心して利用しやすくなるよう再整備するとのことですが、市道知恵島
中須賀中郷線は交通量も多い道路ですし、集積所前の横断歩道は鴨島小学校
児童の通学路にもなっていますので、交通安全に充分配慮した設計にして頂
くよう要望し、次の質問にうつります。


◎吉野川医療センター周辺の交通事情について質問いたします。

5月11日の開院から、約4ケ月を経過いたしました吉野川医療センターで
すが、産科での分娩の再開や最新医療機器の設置など、地域の中核病院とし
てより今まで以上の高度な医療サービスを提供して頂くことを市民は期待し
ております。
さて、それに比べ鴨島町の中心部に立地していた麻植協同病院跡地周辺は、
閑散としており、特に月曜日の朝の病院への来院者の車で混雑がひどかった
病院北側の市道は、人も車もあまり見かけない寂しい風景となっています。
年間に、約10万人近くの利用者があったと言われていた麻植協同病院が
移転して吉野川医療センターとなりましたが、病院関係者や利用者の人数
や車の数はほとんど変わっていないと思います。
 以前の場所なら、車道と歩道がはっきり分離されていて、通勤客や通学
する児童や生徒(主に鴨島小学校と鴨島第一中学校)の交通安全は図られ
ていました。
 吉野川医療センターは、アクセス道路が主に県道板野川島線となってい
ますが、国道318号から西に向いて二つの市道と、西麻植駅前を通る県
道川島西麻植停車場線から東に向いての市道が、病院への進入経路となっ
ています。
このエリアでは、西麻植小学校、知恵島小学校、鴨島小学校および鴨島第
一中学校の通学路があり、朝夕児童や生徒達が通学に利用しています。
 吉野川医療センターの建設前の地元説明会でも市民の方から、通学路の
安全確保についての質問がありましたが、現在、通学路の安全確保はどの
ように行っているのか質問します。

○寒川教育次長
これまで教育委員会では,児童生徒の交通安全の確保を図るため,通学
路の安全点検や登下校時の安全指導について,校長会等あらゆる機会を
通じて指導してまいりました。
本年4月には,市内幼稚園,小・中学校に「通学路における道路標示
の点検」をお願いし,危険箇所を調査いたしました。児童生徒の通学時
における安全確保と交通事故の未然防止に向けて,各学校から報告して
いただいた内容を関係部署に提出し,補修工事の要望をしているところ
でございます。
議員ご指摘のとおり,吉野川医療センター周辺には,西麻植小学校・
知恵島小学校・鴨島小学校及び鴨島第一中学校の通学路があります。
 各学校におきましては,教員及び保護者やスクールガードなど,地域の
方々のご協力を得ながら,通学路の危険箇所の点検や校区の実情に応じた
集団登校を実施し,登校中の立哨活動や巡回指導などをとおして,子ども
の安全を見守っていただいているところでございます。
 また,警察官や交通安全指導員,スクールガードリーダーを講師とした
「交通安全教室」を実施するとともに,交通規則やマナーについて体験や
事例をもとにした授業にも取り組んでいます。さらには,児童生徒が交通
委員会で主体的に活動するなど,学校は交通安全教育を計画的に推進して
おり,子どもの交通安全に対する意識の向上に努めているところでござい
ます。
 こうした取り組みにより,児童生徒の安全確保に成果をあげているとこ
ろであり,日々ご協力いただいております保護者や地域の方々には大変感
謝いたしているところでございます。

今後におきましても,学校,保護者,地域,警察等と一層連携し通学路
の安全確保に努めてまいりたいと考えております。

○再 門
5月11日の吉野川医療センター開院からしばらくは、鴨島第一中学校の
東の国道318号線交差点に、「吉野川医療センター利用者は、バイパス
へ」との看板を持ったガードマンが車を誘導していましたが、現在は何の
案内もしていません。
先日、鴨島第一中学校で校長先生から話を聞きましたが、車両の通行が増
えたので、交通安全ののぼりを道路沿いに設置、また阿波吉野川警察署や
自動車教習所と生徒会で交通安全の啓発活動を行っているとのことでした。
吉野川医療センター周辺では、歩行者と車が共存できる「歩車共存道路」
などの道路整備を行っていますが、もう少し範囲を広げて、自動車の運転
手に、児童や生徒達の通学路である、スクールゾーンであるとの表示など
は出来ないものでしょうか。
特に朝の通学時間帯は、道幅の狭い市道を子ども達は道路の端を集団で歩
いて登校しています。もちろん車道と歩道の区別はありません。
子ども達の通学路の安全を確保するために、交通安全の標識設置や路面標
示、路側帯標示などの対策をする予定はないのでしょうか再問いたします。


○寒川教育次長
教育委員会といたしましては,吉野川医療センターの開院にあたり,通学
路の安全確保を図るために,これまでの取り組みに加えて,昨年11月に
は関係部署と相談の上,周辺道路に注意喚起の「のぼり旗」を設置いたし
ました。
 また,中学校においては,阿波吉野川警察署と合同で月1回,朝の登校
時間に合わせて立哨活動を実施しているところでございます。
議員ご指摘の路面標示等につきましては,通学路の安全確保の上からも
必要であると認識しておりますので,関係部署と連携しながら,要望して
まいりたいと考えております。

○阿部建設部次長
 吉野川医療センター周辺道路整備につきましては、建設前の地元説明会
において周辺道路に関して、主に交通安全対策への意見・要望が出され、
新病院に起因して交通量が増加、生活道路における交通渋滞や交通事故の
懸念、特に通学路にあたる周辺道路の歩行者・自転車利用者の安全通行の
確保に強い要望がございました。

 周辺道路に係る基本的な整備計画につきましては、「災害拠点病院」
ともなります大規模な総合病院が西知恵島地区に新築されることになり、
病院施設周辺部の安全で円滑な交通の確保が求められました。
 西知恵島地区の交通アクセスを向上するために、車両の安全かつ円滑な
交通が確保できるように吉野川堤防に沿う県道板野川島線に、T字型の交
差点を設けて2車線の道路をメインのアクセス道路としまして、一般の車
両交通を誘導することを基本といたしました。

 議員ご指摘のように、病院の周辺道路につきましては、歩行者と自動車
が共存できる道路「歩車共存道路」として、あくまでも歩行者優先の道路
として整備を進めております。
 また、現道を単に拡幅しますと、車の走行速度が上がり危険度が高まっ
てしまいますので、歩行者の安全を最優先とすることを基本的な考え方と
しまして、車両同士が対向可能な待避箇所を設けたり、病院への歩行者専
用の道路部分には、車道と分離した歩道を設けるなど自動車の走行速度を
抑制して、歩行者の安全が確保できる構造を念頭に、地域の皆様のご意見
・ご要望を取り入れながら「周辺道路」の整備を進めてまいりました。

 通学路における交通安全の確保について、でございますが、安全・安心
な道路交通を確保するために、これまでも道路の交通安全施設として、
ガードレール、カーブミラー、街路灯などの設置と併せまして、現状に応
じて、適宜に対策を重ねながら、継続的に実施しております。
 他の自治体では、路側帯をカラー舗装にして、より一層の注意喚起を図
っているなどの事例が多くありますが、今後も道路交通法に基づきます県
公安委員会が実施される交通規制等との整合をとりながら、道路管理者で
ある市としましても、より効果的な対策を講じたいと考えています。

 今後におきましても、通学路の交通安全対策として、各学校区の実情に
応じた対策を講じて参りますが、交通規制等のソフト対策との組合せによ
りまして、その実効性を相乗的に高めるためにも、所轄警察署・県公安委
員会と連携して、整合のとれた対策を進めて参ります。
 特に、通学路の安全確保を最優先とする観点からも、スクールゾーン
標識などの道路標識や、信号機などの設置・改善を含めまして、幅広く
地元関係者のご意見やご要望を踏まえながら、多面的で効果的な具体策
を検討する必要がありますので、可能な限り、車両の通行速度抑制を図
るための対策を計画的に実施することで、早期の効果が発現できるよう
努めたいと考えております。

○再再門
ありがとうございました
 地元関係者や学校関係者や保護者などの意見を充分に聞いて、通学路
の安全確保を最優先に考えて対応して下さい。
最後に、以前より委員会などで要望いたしております「県道板野川島線」
の吉野川医療センターへの進入路の三叉路への信号機の設置について、
徳島県へ強く要望しているとの事ですが、現在の進捗状況を再再問いた
します。

○阿部建設部次長
 本市におきましては、吉野川医療センター開院後の円滑な交通体系を
確保、維持するためのメインアクセス道路といたしまして、県道板野川
島線に接続します市道西知恵島17号線を整備しまして、供用を開始し
ているところでございます。
 県道板野川島線は、国道192号線から徳島市へ向かうバイパス的な
機能を担い、通勤・通学路としても多くの方に利用がされています。
 吉野川医療センターは、県中央部におけます広域的な医療を支える中
核病院として、必要不可欠な社会インフラとなっていますが、現在、病
院の利用者は1日当たり約600人であり、この内のほとんどが車での
来院で1日当たり約550台、病院関係者を含めますと約1,000台
と多くの車両の出入りがあると、吉野川医療センター事務局よりお聞き
しています。

 県道板野川島線との交差点部への信号機設置についての経過について
でございますが、メインアクセス道路の整備計画に際しまして、国土交
通省、徳島県との交差改良に係る協議の中で、県公安委員会(県警交通
規制課)からは、県道板野川島線の交通量調査結果並びに旧:麻植協同
病院へ来院される車の台数などの数値を基に、信号機の設置基準による
検討結果から、当面は信号機による交通の制御は行わないとの回答であ
り、交差点改良時点での信号機設置はされずに現在に至っております。

 しかしながら、道路利用者の安全を確保するとともに、安心して通行
ができる道路として整備されるよう今後においても引き続き関係機関へ、
信号機が設置されるよう要望したいと考えております。  
 先の交差点協議におきましても、県は信号機の設置については、供用
後に必要性を検討し決定したいとの見解も示されていることから、
 現在、吉野川医療センター開院後の利用状況などの資料を基にいたし
まして、本交差点部への信号機設置の要望書を作成し、県へ提出を予定
しているところでございます。

○まとめ
 要望書を作成中とのことですが、出来るだけ早く県に提出して、1日
も早い信号機の設置をお願いいたします。
 子ども達は2学期が始まって毎日元気に学校に通っていますが、通学
路の安全を確保するのは大人の役目でもあります。
今後とも、ソフト・ハードの両面から、通学路の安全確保に努力して頂
くことを要望して、次の質問に移ります。

◎世界農業遺産について質問いたします
“世界農業遺産”とは『世界重要農業資産システム』(ジアスGIAHS)
のことで、これは、平成14年(2002年)に国連食糧農業機関(FAO)
が開始した仕組みで、その土地の環境を生かした伝統的な農業・農法や、
農業によって育まれ維持されてきた土地利用、技術、農村文化や風習、
風景、それを取り巻く生物多様性の保全を目的として、世界的に重要な
地域を国際連盟食糧農業機関( FAO )が認定するものであります。
簡単に言えば、次世代に継承すべき重要な伝統農業(林業・水産業を含
む)や生物多様性、伝統知識、農村文化、農業景観などを全体として認
定し、その保全と持続的な活用を図るものとするものです。

「世界農業遺産」が設定された背景には、近代農業の行き過ぎた生産性
への偏重が、世界各地で森林破壊や水質汚染等の環境問題を引き起こし、
地域固有の文化や景観、生物多様性などの消失を招いてきたことが挙げ
られます。
国連教育科学文化機関(ユネスコ UNESCO)が提唱する世界遺産が、
遺跡や歴史的建造物、自然などの不動産を登録し、保護することを目的
としているのに対し、「世界農業遺産」とは、さまざまな環境の変化に
対応しながら進化を続ける「生きている遺産」なのです。

「世界重要農業資産システム」の認定基準は、次の5つの柱からなって
いて。
○ 知識システムおよび適応技術
○ 食料と生計の保障
○ 生物多様性と生態系機能
○ 文化・価値観と社会的組織(農文化)
○ 優れた景観と土地・水管理の特徴が必要とされています。

平成26年(2014年)8月現在、世界13カ国31サイトが認定され
ており。日本においては現在、能登地域の4市4町で申請した「能登の
里山里海」、新潟県佐渡市の「朱鷺(とき)と共生する佐渡の里山」、
熊本県阿蘇地域1市3町3村の「阿蘇草原の持続的農業」、静岡県掛川
地域の4市1町の「静岡の伝統的な茶草場農法(ちゃぐさばのうほう)
」、大分県国東地域4市1町1村の「国東半島宇佐の農林水産循環シス
テム」など5カ所が認定されています。

 ところで、わが徳島県には、「剣山系の伝統的な傾斜地農業」という、
世界農業遺産に認定されてもおかしくない程の、素晴らしい農法が古来
より伝えられています。
 この世界農業遺産の認定に向けての動きは、数年前から美馬郡つるぎ
町や県内の郷土研究家などが調査を始め、各行政機関への働きかけも行
っております。

吉野川市へは平成25年12月19日に、つるぎ町商工観光課の課長と
係長が説明に来て当時の産業経済部長と次長が対応いたしました。
その当時は、趣旨は判ったが世界農業遺産の認定に向けての活動に参加
するかどうかは考慮させてほしい。との返事であったと思うが、その後
の動きはどうなっているのかを質問いたします。

○新居産業経済部次長
世界農業遺産は、『世界重要農業資産システム』(ジアスGIAHS)
のことであり、平成14年(2002年)に「国連食糧農業機関」
(FAO)が開始したシステムで、社会や環境に対応しながら何世代に
もわたり形作られてきた農業上の土地利用、伝統的な農業とそれに関わ
って生まれた文化、景観、生物多様性などが一体となったシステムであ
ります。

平成26年(2014年)8月現在、世界13カ国31地域が指定され、
日本にでは、平成23年に新潟県佐渡地域、石川県能登地域、平成25
年に静岡県掛川周辺地域、熊本県阿蘇地域、大分県国東半島宇佐地域の
五カ所が認定されています。
日本における5地区においては、生態系の保全や文化伝統の継承が行わ
れ、それに伴う「農」と「食」等の共生が図られています。
本県では、「剣山系の多様な伝統農業」を世界農業遺産に登録すべく、
認定に向けての推進体制が整備されたとのことでありますが、平成26
年(2014年)の国内審査で惜しくも落選しており、本市におきまし
ては世界農業遺産登録に関し、十分な議論がなされず、現在に至ってい
る状況でございます。


○再 門
当時は、まだ徳島県も動きが無く他市町村の返事も重かったように聞い
ております。
しかし、平成26年に入って徳島県や徳島大学に動きが出てからは、世
界農業遺産の認定を目指した動きが加速し、阿波歴史民族研究会や有識
者で組織する「徳島剣山世界農業遺産支援協議会」や、つるぎ町など西
阿波の市町で組織する「徳島剣山世界農業遺産推進協議会」などが設立
されました。

 徳島県の世界農業遺産というのは何であるか、それは「剣山系の伝統
的な傾斜地農業」で、エリアは吉野川南岸域の結晶片岩地域であり、地
質面を重視すれば「剣山系の結晶片岩帯における伝統農業」とも言えま
す。
 エリアには、美馬郡つるぎ町、美馬市、三好郡東みよし町、三好市、
吉野川市、名西郡神山町、名東郡佐那河内村が含まれます。
 吉野川市には、結晶片岩の地域特性を利用した剣山系特有の高度な石
積文化となる美郷地区の高開の石積み、古くから地域内各地には氏(うじ)
堂とよばれる四つ足堂(柱だけの吹抜けのお堂)などの剣山系独特の
「お堂文化」があり、住民の寄り合いの場での「回り踊り」も伝承され
ています。さらに、美郷の「平八幡神社」や山川町の川田「八幡神社」、
川島町の「川島神社」に伝わる七十五膳の神事は、誇るべき剣山系の農
文化であります。
また、川田川上流域は「美郷のホタルおよびその発生地」として国の天
然記念物に指定されていて、素晴らしい観光資源がたくさんあります。
また、剣山系特有の傾斜地農業を維持するカヤ等を施用した自然循環型
農業やコエグロ文化が山川町の楠根地や美郷の月野・張・大神集落など
に残されています。
雑穀や山菜を使った食文化、ウメやクリ、スダチなど多用な果樹を栽培
する自然循環型の傾斜地農業も盛んに行われています。

 そして、樹皮繊維を利用する剣山系特有の農産業の宝庫でもあります。
楮(こうぞ)、雁皮(がんぴ)麻(あさ)など、かつては剣山系全域で
培われた少なくも1200年以上前からの古代技術を継承した樹皮繊維
を利用する洗練された、照葉樹林文化の農文化や産業が残存しています。
 楮(こうぞ)・三椏(みつまた)・雁皮(がんぴ)を原料とした阿波
和紙は、原料の栽培・黒皮(くろかわ)の収穫・白皮(しろかわ)作り
・皮剥ぎを経て、煮熟(しゃじゅく)・塵取り(ちりとり)・打解
(だかい)を経て、阿波和紙の材料となります。
 その材料を、流し漉きや溜め漉きで漉き、漉いた湿紙(しとがみ)を
重ねた紙床(しと)を圧搾(あっさく)機で脱水し、干し板で乾燥させ
て阿波和紙を完成させます。
 原料の生産から商品化まで一貫して、山川町の阿波和紙伝統産業会館
で継承されています。

先日、ユネスコから「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」で、埼玉
県小川町、東秩父村の細川紙(ほそかわし)、岐阜県美濃市の本美濃紙
(ほんみのし)、島根県浜田市の石州半紙(せきしゅうばんし)が無形
文化遺産に登録されましたが、阿波和紙もそれに劣ることのない、素晴
らしい和紙だと思います。
 徳島県指定無形文化財「手漉き和紙製造の技法」や徳島県指定有形民
族文化財「川田手漉き和紙製造用具」は旧山川庁舎の2階や阿波和紙伝
統産業会館で見ることができます。
このような市内にある文化や景観や技術は世界農業遺産の認定に向けて
の素晴らしい素材となるだけなく、吉野川市を世界へ向けてPRできる
ものだと思います。

また、世界農業遺産の認定は、今日の課題でもある地方創生にも利用で
きると思います。
徳島県や他市町村との連携を図り、農業発展、産業振興、観光資源とし
て活用出来るように協議していけば、吉野川市としては、剣山山系エリ
アの東の入口として、山川町や美郷地区だけでなく市内全体の観光客の
呼び込みになると思うのですが、市を挙げて世界農業遺産の認定へ参画
してはいかがでしょうか? 

○新居産業経済部次長
再門にご答弁申し上げます。
本市におきましては、「国の天然記念物である美郷のホタル」、「にほ
んの里100選にも選ばれた美郷の高開の石積み」等の観光資源をはじ
め、特に傾斜地農業におけるウメ・クリ・スダチ等の栽培や「こうぞ」
「みつまた」等を原料とする「阿波和紙の伝統を現在に伝える阿波和紙
会館」についても代表的な伝統農業の継承のたまものであり、観光資源
でもあります。
「阿波剣山系の多様な持続的伝統農業」が世界農業遺産に認定されると
なれば、本市の活性化や地方創生についても大いに役立つと考えられ、
また本市のPRにも大きく貢献することとなりますが、世界農業遺産の
認定申請に当たりましては、農林水産省の承認を得ることが必要であり
ます。
この承認の基準は、岸田議員からもありましたように「食料及び生計の
保障」など5項目の必須基準とその他の基準として「活用・保全計画」
等がございます。
現在吉野川市においては、岸田議員ご指摘のとおり「吉野川市まち・ひ
と・しごと創生総合戦略」を策定中であり、基本目標の「人の定住・環
流・移住の新しい流れをつくる」なかで交流推進や人口増加、観光力の
強化等により、魅力ある新しい町をつくることを目標としております。
現在の地域の現状を見てみますと、高齢化や過疎化が進行しており、仮
に世界農業遺産に認定されるとするならば、活用・保全計画に基づき農
業・農村振興施策を推進すると共に、伝統的な農業・農法や豊かな生物
多様性などを次世代に確実に継承して行くことが求められております。
 
そのため認定後の体制をいかに担保するかということが重要であると考
えており、農家や各種団体等の意向も把握し、また農業振興のみならず、
観光振興や地方創生との関わりを充分調査検討精査し、阿波歴史民族研
究会や有識者で組織する「徳島剣山世界農業遺産支援協議会」や、つる
ぎ町など西阿波の市町で組織する「徳島剣山世界農業遺産推進協議会」
の動きなど、近隣の状況を判断しつつ、更に検討して参りたいと考えて
おります。

○まとめ
世界農業遺産に認定されるのには、先ほど述べました、
知識システムおよび適応技術・食料と生計の保障、生物多様性と生態系
機能、文化・価値観と社会的組織(農文化)、
優れた景観と土地・水管理の特徴が必要とされています。
今回の質問では、あえて農業関係のみの答弁を頂きましたが、
産業・観光振興については産業経済部全般、農文化や伝統文化に関して
は教育委員会なども関係してきます。
世界農業遺産の認定に参加すると言うことは、地域の再発見にも繋がり
ますし、旧の山川庁舎に展示されています、「あらたえ」や「忌部族」、
「伝統ある阿波和紙の歴史」を見直す機会にもなると思います。
吉野川市、いや麻植郡の歴史につながる地元の文化や施設は、地方創生
にもつながる、貴重な財産だと思います。
今後は、世界農業遺産の認定を目指す、2つの協議会の動向に注目しな
がら、参画することへの検討を続けて行くことをお願いして、私の質問
を終わらせて頂きます。

事務所のご案内

  • tel : 0883-24-8660
  • fax : 0883-26-0588